DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一手として、拠点間のコミュニケーション活性化のためにオンライン常時接続を導入する事業者様が増えています。
拠点間のオンライン常時接続は、長時間の接続状態を安定してキープする必要があるため、Web会議システムのようにパソコン・タブレットを端末代わりに使う方法よりも、オンライン常時接続の専用端末を使うことをお勧めしています。しかし、一方で「Zoomなどの無料プランであれば、コストをかけずに常時接続できるのでは?」といったご質問をいただくこともあります。
確かに、Zoomを利用すれば、手持ちのノートパソコンやタブレットを使って簡単に接続でき、導入のハードルは高くありません。しかし、実際の使用においてZoomの無料プランはどれほど実用的なのでしょうか?
今回は、Zoomの無料プランで常時接続が可能かどうか、専用機との比較を交えながら解説していきます。
Contents
無料Web会議Zoomと常時接続専用機の導入コスト
Zoom無料プランならコストはかからないが、デメリットはある
無料のWeb会議システムであるZoomは、初期費用や月額料金がかからないため、特に中小企業やスタートアップにとって非常に魅力的な選択肢です。しかし、無料プランには以下のデメリットが存在します。
- 3人以上の会議には時間制限があり、無料プランでは最大40分しか会議を行うことができない。
- 参加可能な人数に制限があり、大規模な会議やウェビナーには対応しきれない。
- 一部の高度な機能が利用できず、録画機能やブレイクアウトルームの数に制限がある。
- セキュリティ機能が限定されているため、機密情報のやり取りやプライバシー保護が難しい。
- 広告が表示されることがあり、プロフェッショナルな印象を損なう恐れがある。
これらのデメリットを考慮すると、無料のZoomは一時的な解決策としては有効ですが、長期的な利用や大規模な業務には向いていないと言えます。特に、業務の効率化や安定性を求める企業にとっては、常時接続専用機器や有料プランの導入が必要となる場合があります。
常時接続専用機はコストはかかれど高品質
常時接続専用機の導入は、初期投資や運用コストが比較的高くなることが多いですが、その分、高品質な通信環境を提供します。以下のようなメリットが挙げられます。
- 安定した接続:専用機器は長時間の接続に最適化されており、回線やハードウェアの負荷を軽減し、接続が途切れるリスクを最小限に抑えます。
- 高品質な音声・映像:専用機器は高性能なマイク、スピーカー、カメラが内蔵されていることが多く、クリアな音声や映像でのコミュニケーションが可能です。
- 簡単な操作性:専用端末は直感的な操作が可能なため、ユーザーが設定の複雑さに悩まされずに利用できます。リモート管理機能も備わっていることが多いです。
- セキュリティ対策が強固:専用機器には高度なセキュリティ機能が組み込まれており、外部からの不正アクセスやデータ漏洩のリスクが低くなります。
- 一貫した通信品質:専用回線や機器によって、インターネット環境に依存しない安定した通信が確保されます。ネットワークの混雑や不安定なWi-Fiの影響を受けにくいです。
- マルチデバイスとの統合:複数のディスプレイやカメラ、マイクといったハードウェアを組み合わせて、会議室全体をカバーし、広い範囲での常時接続が可能です。
- 専用サポート:専用機器を利用することで、通常のソフトウェアに比べて、メーカーからの専門的なサポートを受けられる場合が多いです。
長期的な利用や大規模な業務が発生する企業にはZoomやGoogle meetなどの無料Web会議システムのデメリットを踏まえるとこっちの方が向いていると思います。
Zoomと常時接続専用機それぞれに必要な機器
Web会議システムはパソコンやタブレット
無料のWeb会議Zoomはパソコンやタブレットが必要になりますが、なるべく接続を安定させるために他の作業で使わない専用パソコンが良いでしょう。
また、古いパソコンでもWeb会議システムの動作要件さえ満たしていれば、動作は可能かもしれません。しかし、セキュリティ面のリスクを考えてOSやブラウザの要件は必ず満たすべきです。
機器端末の寿命が短くなる
大きなデメリットの一つとして、パソコンやタブレットの機器端末の寿命が短くなることです。Web会議のようなビデオ映像を表示させる処理は、パソコンにとって非常に大きなパワーを使うため、かなり熱を帯びます。(40分程度のミーティング後ですら結構熱くなります)
消費電力も非常に大きいので必然的に電源アダプターを挿しながら使うようになり、バッテリーやパソコン本体に負荷が掛かり続けることになります。そのため、機器の寿命は短くなりがちです。
専用機は本体・モニター・カメラ・スピーカーマイク
常時接続専用機の場合は本体のほか、画面表示のためのモニターとカメラ・スピーカーマイクが必要になります。(Web会議の場合はパソコンに備わっていることがほとんど)
常時接続はそもそも、オフィスフロアをなるべく広角に表示して、それを互いに確認できる環境にしなければなりませんので、ノートパソコンのモニターや内蔵カメラの映像ではそれらが十分に実現できません。
常時接続専用機にしても、ノートパソコンを使うにしても、オフィスの常時接続環境を構築するためには、ディスプレイ・モニター、カメラ、スピーカーマイクといった外部機器は必須となります。
最近では一体型になっているのも
最近では、一体型のビデオ会議システムが増えてきています。これらのシステムは、カメラ、マイク、スピーカーが一つのデバイスに統合されており、設置が簡単で操作も直感的です。
例えば、Zoom Roomsのようなソリューションは、専用のハードウェアを用いずに、既存のデバイスと連携させることが可能で、シンプルな操作性と高い柔軟性を提供します。これにより、オフィスや会議室の規模に応じて必要な機器を選び、最適なコミュニケーション環境を構築できます。
Zoomと常時接続専用機の操作性
Web会議システムは慣れと知識が必要
パソコンでWeb会議システムを利用している時、音声が相手に届いていなかったり、相手の音声が聞こえなかったり、映像が出ていなかったり…、このようなトラブルを経験された方は多いと思います。
扱い慣れた方ならトラブルは解決できるかもしれませんが、接続相手が扱えなければ解決しないパターンもあります。また、慣れていても解決に時間が掛かることもあります。
そもそもパソコンの操作に抵抗のある方やWeb会議システムのアプリを十分に扱ったことがない方にとっては、Zoomの接続設定や招待URLの発行も複雑に感じます。
誰もが扱えるとは限らないというのは注意が必要なポイントです。
専用機は設定・操作方法が簡単
常時接続は設備のイメージで、そこに設置されているものです。そして、複雑な操作をせずとも常時接続状態にできることが望ましいです。
専用機は余計な設定は必要無く、テレビをつけるくらいの簡単な操作性なので、誰もが抵抗感無く扱うことができます。
Zoomの動作の安定性
Web会議システムはによる常時接続はどうしても不安定になりがち
Web会議システムは比較的短い時間の接続がほとんどで、常時接続のような持続的な接続を前提としておらず、WindowsやMacOSをはじめ裏側で何かしらソフトウェアが動作してWeb会議システムのアプリと必ず共動していることになります。
そのため、何らかの干渉を受けたり、パソコンの連続稼働による熱暴走を起こしたりで不安定となり、無料・有料に限らずWeb会議システムの正常な接続が継続できなくなる場合があります。
それぞれの特長をおさらい
常時接続専用機の特長(強み)は、以下の通りです。
- 専用機のため動作が安定している
- 継続的な接続も支障なく継続的に接続できる
- 高画質で相手の表情がハッキリ分かる
- まるで対面と同じようにリアルタイムで会話が出来る
- テレビを操作する感覚の簡単な操作性
Zoom無料プランの特長
- 手軽にWeb会議を開始できる
- 特別な機器を必要としない
- PCやスマートフォンから利用可能
- バーチャル背景を使用できる
- 画面共有やチャット機能あり
制限事項
- グループミーティングの時間制限が40分
- 同時接続人数が100人に制限
- サポートが限定的
本格的にオフィス常時接続を導入するならZoom Roomsなどの専用機
ここまで、Zoomを主な例に無料Web会議システムでも常時接続は可能か、注意点を挙げてまいりました。
手軽さやコスト面では、Zoomのような無料Web会議システムは、ミーティングシーンにおいては非常に便利で魅力的ですが、利用用途が「オフィスの常時接続」となると、やはり常時接続専用機がオススメです。
特に、安定して大画面に鮮明に表示させるといった常時接続に必要な点は、専用機は強みを発揮できます。
Zoom Roomsなどの専用機は、オフィスにおける常時接続を効率的かつ効果的に実現するための最適なソリューションです。
まず、専用機は一体型の設計となっており、カメラ、マイク、スピーカーが一体化されているため、セットアップが非常に簡単です。また、専用のソフトウェアがプレインストールされているため、すぐに使用を開始することができます。これにより、技術的なトラブルが発生するリスクが大幅に減少し、会議の開始や終了がスムーズに行えます。
さらに、Zoom Roomsは高品質なオーディオとビデオを提供し、クリアで遅延のないコミュニケーションを実現します。特に、ノイズキャンセリング機能や自動音量調整機能などの先進的なオーディオ技術は、外部の雑音を排除し、参加者全員が快適に会話を楽しむことができます。また、4K対応のカメラは、細部まで鮮明な映像を提供し、臨場感のある対話を可能にします。
管理面でも、Zoom Roomsは非常に優れています。クラウドベースの管理ツールを使用することで、リモートからシステムの監視やメンテナンスが可能です。これにより、IT部門の負担が軽減されるだけでなく、迅速な対応が求められる場合にも即座に対処できます。また、自動更新機能により、常に最新のソフトウェアバージョンを維持することができ、セキュリティ面でも安心です。
導入コストについても、長期的な視点で考えると非常に経済的です。初期投資は必要ですが、運用コストが低く、メンテナンスも簡便であるため、総合的なコストパフォーマンスに優れています。さらに、専用機を使用することで会議の品質が向上し、生産性が上がるため、結果的にビジネス全体の効率も向上します。
以上のように、Zoom Roomsなどの専用機は、オフィスの常時接続を本格的に導入する際の最適な選択肢として、非常に多くのメリットを提供します。特に、簡単なセットアップ、高品質なオーディオ・ビデオ、優れた管理機能、そして経済的な運用コストを考慮すると、専用機の導入は十分に価値があると言えるでしょう。
導入前テスト・比較テスト
常時接続が社内で使えるのか、どのような環境になるのか、一度社内でテスト導入することは非常に有効です。無料Web会議システムなら任意でテストできます。
専用機の場合も、無料トライアルで実際の環境でテストができますので、無料Web会議と専用機を体感しながら比較することも導入を検討する上でオススメです。